ベンチの神様。

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「あの人が?」 俺は顎で示された先輩を横目に、聞き返す。 黙々と硬式のボールを丁寧に拭く先輩。 見る間に黒土で汚れたボールは白い輝きを取り戻していく。 「そうそう。なんつーか、とにかく試合に出れないらしくてさ。ベンチの神様って言われてんの」 「どっからそんな事聞いたんだよ。」 時期は春。俺は野球の強いこの高校に、少し無理をして受験し、たまたま受かったんだ。 まだ入部で一ヶ月も経ってない。そんなあだ名みたいなのが付けられた先輩がいたなんて、全然知らなかった。
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