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キィン。
金属のバットと、硬球とが打ち付けあった気持ちのいい音が響く。
ボールは綺麗に放物線を描き、左中間へ伸びて行った。
「…また、かよ。」
俺はそのボールを取りにいく。なぜならレフトを守っていたからだ。
練習メニューはフリーバッティング。
先輩達は気持ちよく良い当りを飛ばしてくる。
俺は今、二年生になった。
この一年はひたすら体力作りだったっけ。
ろくにボールやバットを触らせてくれず、ランニング、ランニング、ランニング…
耐えきれず辞める奴らもいた中、俺は耐えに耐えてここまで来た。
二年生になり、後輩も出来、やっと野球らしい野球をさせてもらえる様になった今日この頃だ。
ボールを触れる喜びというのに浸りながら、俺は追いついたボールを右手で拾い上げる。
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