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数時間後、教室。
あたしは祐樹の元へ向かった。
さっきはちょっとヤバかった。でも、今度は逃げない。
負けないよ。
美咲にも応援されたから。
でも、なんか悲しいよね。好きな人が心友を好きなんて。
あーっ!まずい。またマイナス思考になってるよあたし。
とりあえず今は前進あるのみだ!
「ゆっ…――」
いつもみたいに名前を叫ぼうとしたけど、出来なかった。
それは、祐樹と祐樹のクラスメイトが好きな人の話をしていたから…。
さすがに入れない。っていうか聞きたい!!
っという訳であたしはすぐさま盗聴開始。
「祐樹はさ、今川が好きなんだろ?」
今川っていうのは、美咲の苗字。
これを聞いた祐樹は目を見開いて動揺した。
「!!な、な…」
「そんなのみんな知ってるっつーの」
「……マジかよ。何で…」
「お前、分かりやすいんだよ」
…そうだったのか。あたし、昨日気づいたんだけどな。
確かに今朝の様子を見れば、分かりやすいって言うのも分かる。
目線がばればれすぎて…。
あたしが馬鹿だったのかなぁ。
って落ち込んでたら、会話は結構進んでた。
再び集中。
「……美咲、どんな奴が好きなんだろーなぁ」
「お前、そんなに好きなのかよ」
「……かもな」
ぎゃはははっ、と笑うクラスメイトとは反対に、祐樹の顔は真面目で……赤かった。
そんなに好きなんだ、って思い知らされた。
祐樹の顔は赤かったけど、真剣で。笑えないくらい、可愛くて、かっこよくて……。
本気で相手を好きってこういう事なんだ。
輝いてる。
あたしもあんな顔してたのかな?恋する顔を…。
だとしたら。
あたしの“好き”って想いが祐樹の“好き”って想いに勝てるのかな?
負けてたら、祐樹の恋の邪魔をする資格なんて無いよね。
あたし最低じゃん……。
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