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「どうしてそんなに甘いものが好きになったんですか?」
優壱は少しの沈黙のあと答えた。
「俺の家は親父がアル中だったから母親が必死に家計やりくりしてたんです
だからお菓子なんか滅多に買って貰えなくて、あの頃は月に一枚の板チョコをちょっとずつちょっとずつ食べてたんです
でも……そんなある日
母親が板チョコを一枚くれて言ったんです
『今日でこの板チョコ全部食べていいからね
お母さんちょっと出掛けてくるから』
と。俺は板チョコが食べれるって大喜びしてて、母親の異変に気付けなかったんです
母親は……帰って来ませんでした」
語り切った後、優壱はペキンッと一欠片チョコを口に含み、溶けていく感覚を味わいながらなくなったのを確認して口を開く。
「よくあるパターンですよね
物語にするなら定番過ぎる
でも……俺にとってはそれなりに辛いことで、甘いものは……その辛いことを忘れさせてくれるから……」
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