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「!鏡さん」
スタッフルームに入って来たのはバーテンダーの鏡だった。
「優壱さんも休憩ですか?」
「あっはい
と言ってももう仕事に戻るんですが……」
「そうですか……
頑張ってくださいね」
鏡はニコリと小さく笑った。
その笑顔を見て心臓が早鐘を打ち始めていることに気付いた。
いや、鏡がこのスタッフルームに入って来てからずっとだ。
どうにも落ち着かないし、触れたくて仕方なくなる時がある。
まさに……今も……
「はい。頑張って来ます」
優壱は鏡に笑みを返し、スタッフルームから足早に出て行った。
そうしなければ自分がどうなるか分からなかったからだ。
「どうして……」
胸に手を当てて自問したところで答えは出ない。
自分の中の不快感にため息をつきつつ仕事に戻った。
見回りをしていた時、やけに人が集まっている台があった。
「あそこは……
いつも雪斗さんがカードをやってる台だ」
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