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雪斗が強いディーラーなのは常連客ならよく知っているため、初めて来た客や挑戦者以外が雪斗の台に行くことはない。
にも関わらず今日は多い。
どうしたんだ……?
まさか雪斗さんの初負けの話しが広まって皆挑戦を……?
そんなことを思いながら客の隙間から台を覗くと
「あぁーー!!負けた!!」
「また私の勝ちだな」
「く……」
「さぁ、もう一回やろうか」
「もう勘弁していただけませんか……?」
客の相手をしていたのは雪斗でなく、智里だった。
何だか客とディーラーではなく、孫と祖父のトランプゲームの様子に見える優壱だった。
辺りにはカジノに相応しくないほんわかした雰囲気が漂っている。
ここ……カジノだよな……?
心底疑ってしまった。
「まだまだですね」
「!?」
驚いた。
優壱の背後に雪斗が立っていた。
「あぁ、驚かせましたか?」
「少し……」
「すみません」
雪斗は笑顔で謝る。
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