52人が本棚に入れています
本棚に追加
その直後、鈍い音と共に男は転がって行った。
その原因は優壱の蹴りだ。
優壱は更につかつかと歩み寄り、呻いている男の顔面を蹴り飛ばした。
客達は巻き込まれぬようにと男と優壱から離れていった。
再び床を転がった男は虫の息だ。
「やめろ!!如月!!」
他のボディーガード達が優壱を止めにかかるが、優壱に見つめられこう言われた。
「退け」
その瞳は正気を失った狂人の目だった。
放たれる異様な雰囲気に呑まれ、ボディーガードは硬直してしまった。
そして横を優壱が通る。
ドッと汗が噴き出す。
凄まじい恐怖。
一瞬、殺されるのではないかと思った。
優壱は倒れている男の胸に足を置いた。
ゆっくりと体重をかけていく。
肺が圧迫され、息を吸うことは叶わず、男はただ息を吐くことしか出来なかった。
更に肋骨も悲鳴をあげ始める。
男が泡を吹き始めたその時、優壱の体が吹き飛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!