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そして巴が長い足を上げていたのを見てやっと理解した。
蹴られたのだと。
「いきなりモロに食らってんじゃねぇよ
あれくらい避けろ」
蔑むような巴の冷たい視線に優壱はゾクリとした。
これ以上彼を幻滅させようものならぶちのめされるどころかもう視界にも入れようとしてくれないだろう。
それがすぐに伝わった。
それを思い、構え直す。
「次は俺から行く
気絶なんてしたらそのまま海に放り込む」
「=死ねってことですよね」
「ああ。つまんねーヤローは早めに居なくなった方がいい」
話している最中だというのに巴が前に出た。
優壱は全神経を集中させ、巴の動きに気を張る。
風が切れる音がするほどの拳が顔の横を通り、更に巴の足がピクリと動いた。
優壱は大きく後ろに飛んだが、同時に巴が踏み込んで来た。
なっ……!!
巴の蹴りが腹部にめり込んだ。
だが、蹴った方の巴が首を傾げた。
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