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それなりに身長の高い青年ではあるが、どちらかと言えば華奢で、表情には困ったような笑みを浮かべていた。
「申し訳ありませんがお客様
他のお客様のご迷惑になりますので本日のところはお引き取り願えないでしょうか?」
「あ"ぁ"!?離しやがれ!!」
もうやけになり、暴れる組長の拳が堅い壁のような物に当たった。
こんなとこに壁などあったか?と視線を向ければ、そこには壁のような分厚い胸板があった。
その胸板の上にある端正な顔立ちの中の鋭い眼光が威圧感を放つ。
組長の背筋を氷解が撫でる。
地に響くような低い声音が形のいい唇から紡がれた。
「ここは負けて癇癪起こすような餓鬼が来る遊び場じゃねぇんだよ
とっとと俺の前から消え失せろ」
鋭い眼光が更に鋭く細められ、組長を射抜く。
まさに蛇に睨まれた蛙の気持ちを味わった組長は組員達を連れ、即座にカジノから逃げて行った。
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