カジノ【Gold.】～儚い願い～

思いは

自分が役に立たないことなど百も承知している。

だが役に立つための今は訓練期間なのだ。

だが腕っぷしには自信はあってもどう客の対応をすればいいのかそういうことが優壱にはまだ分からなかった。

優壱には巴のような迫力もなければ、閑のような大人な対応力も持っていない。

自分がここに居る意味があるのかと問われればないだろう。

そんな優壱が何故ここに居るのかと言えば、そのキッカケは【Gold】の客が地元ヤンキーに絡まれていたのを優壱が助け、偶然にもその場に居合わせたオーナーに

“ボディーガードをやってみないか？”

と言われたのだ。

断る理由もなかったし、何より優壱は誰かを守りたいと思っていたため承諾した。

カジノに来るまでとある族チームの総長をやっていた優壱は、ずっと多くの者達を傷つけて来た。

その罪滅ぼしと言えなくもないかも知れないが、何より優壱には……守れなかった者が居たのだ。