いい女

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起きると ミチルがいなくなってた。 俺はかたいフローリングの上で寝たせいで体中が痛い。 起き上がろうとすると、毛布が落ちた。 ミチルがかけてくれたのだろう。 なんだかんだ言って優しいじゃん。 俺は少しキュンとしてしまった。 何、乙女みたいになってんだ、俺。 洗面所に行って、鏡で見ると顔が真っ赤だった。 ヤバイ。照れる。 俺のバカ。 冷蔵庫にメモが張り付いていた。 「御飯、用意してあるよ。冷蔵庫にあるから、チンして食べて。バイト行って来る。帰るならカギしめといて。」 なんだよ。 可愛いとこあるじゃん。 いつもは、食事は自分で調達してきてとか言うくせに。 台所に蝋燭があった。友達か誰か誕生日なのかな。でも、ミチルがケーキを作るわけないし…??不思議に思ったが、俺は飯を食って、外に出た。 青い空、綺麗だな。今日はいつもより綺麗に見える。 階段を降りようとすると、ミチルからメールが来ていた。 ハッピーバースデー! お誕生日おめでとう。 バイト帰りにケーキの材料調達してくる。 ケーキ?ケーキまで作ってくれるの? 去年は、コンビニのケーキだったのに? ていうか、今日、俺、誕生日だったんだ?!今気づいた。 それにしても、いつのまに腕を上げたんだ、アイツ。 携帯がまた光った。 俺は急いで出た。ミチルからだったから。 「啓太、質問です!ミチルが好きなのは誰でしょう!」 今度は反対の質問か… また俺を試してる? 「俺?」 俺は違っていたらどうしようと、ドキドキしながら言った。 ミチルの気持ちが、少しわかった気がした。 「そうだよ!」 ミチルの明るい声が響いた。 「啓太は誰が好き?」 俺はちょっと魔がさした。 「好きな子いない。」 すると、携帯から鼻をすする音が聞こえた。 「そうなの?」 ちょっときつかったかな。 「嘘。」 「え?え?なにそれー!」 「大好きだ。」 「何?よく聞こえない!」 「ミチルが大好きだー!!」 俺は構わずに大声で叫んだ。 擦れ違った女子大生がくすくす笑っていた。 下平の言った意味が、少しわかった気がした。
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