プロローグ

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「ごめん、無理だわ。おまえ重すぎ。 オレ、なんでお前なんかと付き合ったんだか。 あいつらが言ったとーり、マジやめとけばよかった。 ……あっちの相性はよかったのにな―――」 「…ごめんなさい」 はじめての恋だった。 当時まだ大学1年生だった私は、ずっとずっと気になっていたサークルの4年の先輩に、思い切って告白した。 見た目は凄く遊んでいそうな、そんな感じ。 綺麗な金髪に、耳にはいくつものピアス。 日本人離れしたその顔は、まるでどこかの国の王子様のようだった。 そんな外見とは裏腹に、 誰にでも同じように優しくて明るくて… 私はそんな先輩にいつの間にか惹かれていった。 友達には、 「遊び人だからやめたほうがいい」 って言われた。 だけど、思いを伝えずにはいられなかった。 今までずっと、逃げては後悔ばかりしてきたから。 逃げることがどんなに辛いことか、分かっていたから…。 ダメもとの告白だったのに、先輩からの答えは意外なものだった。 「べつに、いいけど」 素直にうれしかった。 もう天にも昇る気持ちだった。 だけど、付き合って1ヶ月… 私は見てしまったのだ。 先輩が女の人と仲良く歩いているところを。 その人は凄く大人っぽい雰囲気で、なにより美人だった。 (ただの友達かもしれない…。だって先輩、女友達多いし。) そう思いながらも、気になってこっそりあとをつけた。 だってどう見ても年上… しばらくして、細い路地の角を曲がったところでわたしは足を止めた。 「…っ!!!!!」 わたしの目に入ってきたのは 先輩が女の人とキスをしている光景だった。 それも、とても濃厚な大人のキス…。
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