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で、その戦闘慣れしていない女の子相手に優勢に闘いを進めて、今まさに勝利を治めようとしている。
――はずだったのだが、
連撃に少女の反応が遅れ、オレの拳が彼女のほほに触れる。
やべ、女の子の顔を殴っちまった、とか思った時、
「逸打(いつつ)」
その呟きが聞えた。
拳に手応えは伝わらなかった。
ヒットしたと思ったパンチは空を切っていた。
彼女の反応が遅れたのではなかった。
能力発動にかかるタイムラグとオレの攻撃の到達の速度を量りに掛け、僅差で間に合うとの判断を彼女が下したのだ。
と、気付いた時は後の祭り。
ゴスロリ少女はその身に、目には見えない風の鎧を纏っていたのだった。
戦闘に慣れていないなどととんでもない。
続けて攻撃を加えるも、全て明後日の方向へと逸らされる。
そして半ばヤケ気味の左拳を逸らされ、大きく体勢を崩している所に
ぱぁちいーーーんっ!
突然の平手打ちを見舞われた。
涙目……いや正直に言おう。
オレは落涙した。
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