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後悔先に立たず、その言葉を噛み締めながら観念して次の攻撃の着弾を待つ。
だが、攻撃は来ず、代わりに話し声が聞えてきた。
「あなたはダレ?」
少女の声。
淡々とした変わらぬ調子。
「田辺ガラパゴス、という」
聞き慣れた、
オレの師匠の声だ。
「ジャマ、するの?」
「いや、邪魔しちまったみたいですまなかったが、俺はただの観客だ。続けてくれ」
「そう」
いや、ちょっと待ってくれ。
助けてくれよ。
弟子が殺されそうになってんだぞ。
「ガラ師匠っ」
起き上がり、抗議の声を上げる。
見慣れた大きなガタイ。
黒と茶色を基調とした戦闘服に身を包んだ短髪男が目に入った。
「ハチっ、寝てやがれ! じゃないとフェアじゃないだろっ!!」
怒鳴られた。
この師匠は弟子の命よりも公平さの方が大事らしい。
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