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さすがにこの時ばかりは師匠の叱責も無視して少女に対峙しなおす。
わざとらしく盛大なため息が聞えたが無視。
「風弾」
言葉とともに新たな風塊が弾きだされたが、オレはその時にはもう距離を半ばまで詰めていた。
スライディングの要領で少女の足元に滑り込む。
頭上に攻撃が過ぎさるのを感じる。
勢いを殺さないまま、両足を狙って薙ぐように蹴り払う。
「きゃっ」
狙い通りヒット。
両足をいっぺんに刈られた少女はくるりと横転する。
ツインテールの髪が弧を描く。
倒れた瞬間を狙って足を落とし腕ひしぎに持っていくイメージを描く。
が、叶わない。
少女の身体が地面に着くことなく、横倒し状態のままロケットのように飛び出したのだ。
巻き、乱れる風にオレは思わず眼を閉じた。
離脱し、瞬時に十歩ほどの距離を稼ぐと、今度は上方へと揚がる。
風を操る少女は、風を纏うことで自分の身体さえ宙に飛ばすことができたのだ。
パニエによりふわりと膨らませられた形状のスカートも風をはらむのに役立っているのだろう。
「ひゅうっ」
ガラ師匠が口笛を鳴らす。
「すっげえな、ハチ。あの子飛んだぞ」
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