襲撃

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車をここに廻すことはせずに、そうっと歩いてこの場を離れることにした。 まだ生き残りがいるかも知れないムカデを警戒したんだ。 まだ意識が戻らないミウは、師匠が担いだ。 優しくお姫様抱っこでもしてやりゃいいのに、腕が疲れるだ何だと言って結局肩に担ぎ上げる。 肩だろうが抱っこだろうが、ガラ師匠にしたら大した重さでもないだろうに。 「なあ、ガラ師匠」 オレは口を開く。やはり訊かずにはいられない。 「やっぱりアイツとは和解とかは無理だったのかな?」 言って、身構えるオレ。 だけど予想に反して、怒声ではない、淡々とした口調の返事。 「和解、なんて考えてたらああなってたのは俺だったろうな。それにヤツなら……ヤツだからこそ、ああゆう最後も含めて、自分の生と認めるんじゃねぇかな……」 初対面のはずの敵を、さもよく知ってるかのように話すのは第三世代とやらが関係あるのだろうか? それも含めての解説を、オレは聞きたいような聞きたくないような、複雑な気持ちで師匠の後を歩く。
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