vs. 風を操る少女 ミウ

7/25
前へ
/123ページ
次へ
だが、オレの猶予は早くも崩れ去る。 「飛突(ひとつ)」 少女が言う。 突然揚力を失い、ふらりと頭が地面に向かう。 そして垂直落下。 両手が風切羽のように後方に伸ばされる。 加速度的に落下速度が上がる。 着地すれすれで両手をひろげると、 落下の勢いをほとんど殺さないままにほぼ直角に方向転換をする。 地面と平行に、風を纏い、鋭く飛び、そのままオレの方へ―― グボァ 猫のように大きな釣り目がオレに到達するよりかなり以前に、 巨大な鈍器がぶつかってきたような衝撃がオレを襲った。 切羽詰った危険を感じて反射的に身をよじったが、 訳も分からないままに世界が回り、 気がつくとオレは弾き飛ばされて地面に追突する直前だった。 で、追突。 それから暗転。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加