第一章

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夜勤明けの診察室に、ほのかな陽の光が差し込んでいます。 雀のさえずりが耳に心地良く、彼はうとうとと目を閉じました。 急患で呼び出され、睡眠欲という、人体の三大欲求の一つを満たせず迎えた朝です。 外科医 阿宿 玲志は、今まさに幸せな夢の中へ落ちていこうと、診察台に横たわりました。 「阿宿先生~!オペ大成功ですぅ!患者の意識が回復しましたぁ!」 甲高い女の子の声が脳天を貫きました。 …哀れ、眠りに落ちようとした意識をがっつり引き戻された阿宿。
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