第一章

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阿宿は、私服に着替えて病院を後にしました。 早朝の風は、緑の匂いを抱き込んでいて、心地良く体をすりぬけます。 ですが、朝の太陽は、夜勤開けの目には毒で、彼のショボショボな目を更にチクチクいじめました。 朝日は、邪悪な阿宿の天敵でした。 「早く家に帰ろう…。」 自宅は彼のオアシスでした。 今では全館禁煙になってしまった病院。 家では気にせず、プカプカ×100吸えます。 肺炎上等、肺ガン上等、太く短い人生を、が彼のポリシーです。 今更ですが、彼がなぜ医者になったのか。 『金になるからに決まってんじゃん。早く固定客掴んで独立してぇな~。』 これを聞いた友人は、こいつに一生ついていこうと思ったそうです。
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