嵐の前の凪のような

13/20
前へ
/42ページ
次へ
北方城はある意味で、一つの大きな要塞である。その大きさは、一日掛かって外周を回れるほどの大きさで、人口に見合った人工の建築物は自然を感じさせない雰囲気を外観から漂わせている。 「今日は近くの古戦場跡地の獣を狩り、近隣の街や村を視察した後に、予定通りに近隣の小諸国と連携演習の為に国境を越えるんよ。近状視察とかで予定がちょいと遅れるが走れ。間に合うように走れ。これも鍛練の一つよな」 十人ほどの重苦しく堅っ苦しい騎士の格好をした屈強な肉体の男達に、二人の騎士に相応しくない格好の男達に、二人の女達。 相応しくない雰囲気の四人は、全員が客員騎士として迎えられている。その内の一人に彼――『影の魔術師』が居る。彼は勿論、残る三人も《客員騎士として迎えられている》という実績より何らかの有用な力がある。 かくいう四人が揃ったのは、これが初めてなのだが、何故か彼は不思議とこのメンバーに馴染めそうな気がした。そう、気がしただけ。  
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加