嵐の前の凪のような

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さて。各登場主役級人物の説明が終わった所で、彼らはようやく演習先の国境を越えた先にある小さな村で、小諸国の軍団と合流した。 古戦場跡での狩猟に時間が掛かったり、近隣の村や街でのトラブルの種になっていた魔物を討伐したりと、思いの他、時間が掛かったようで。 辺りは既に赤に染まりつつあった。太陽はやや東よりに傾き、数時間と待たないうちに沈んでしまいそうな――そんな時間になるまで、彼らは到着しなかった。これがどういうことを引き起こすかというと、言わなくても分かるだろう。 「北方の騎士様は時間にルーズであらせられますなあ。こっちは、ずぅっっと立ち尽くして馬鹿を見ましたわい。こんなことなら早々に団を引き払うべきでしたかな?」 などと罵倒されても仕方のない行いで。そもそも騎士を率いて古戦場跡で狩猟をしなくとも依頼でクロメ達を向かわせることも出来た。引いては近隣の村を視察など騎士がする必要もなく、警護団体に任せていれば良いもので。 しかし、クロメ達からしてみれば面白くない。先程の発現は自身の行いを真っ向から否定されていたような気分になる。治安を守るのも、また国の役目。役目という枠を越えるならば人間としての常識を守っただけなのに、なんという言い種か。怒りを覚えて舌打ちをする。  
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