すべての始まり

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太「なんでお前すぐ断らないんだよ」 さっきのイラつきが残ってたせいか、少しきつい言い方になる。 空「…」 太「おい」 空「好きとかよくわかんなかし、」 (好きとかよく分かんないし) 太「え、あ…」 こいつに感情がないことを忘れていた。 感情が無ければ、恋愛感情だって無いはずだ。 空「きさんなしけんキレたと?」 (お前なんでキレたの?) 太「…別に」 空「?」 空が不思議そうに首を傾ける。 太「あぁもう! お前のことなんも知らん奴がお前と一緒にいんのが嫌だったんだよ。」 空「なんやそい」 太「俺だってわかんねぇよ。 なんか、むしゃくしゃして…」 空「ふーん…」 太「多分、」 空「ん?」 太「た、多分だけど。 俺、お前のこと好きなんだと思う」 空「好き?」 太「う、うん。 だから、俺のそばにいてほしい」 空「…なん言うてんと? 今までんきさんがら離れたこつなかし。」 (何言ってんの? 今までお前から離れたことないし。) 太「え?」 空「きさんのいなきゃ周りになんにも伝わらんけんばい。」 (おまえがいなきゃ周りに何にも伝わらないんだよ。) 太「あぁ、そっか…」 空「俺、好きとかわかんなかばってん、そんでからよかもんなん?」 (俺、好きとか分かんないけど、そんなんでいいものなの?) 太「…良いと思うよ。 お前が笑えるようになれば、俺はそれで満足だし、 俺がお前に尽くしたいんだ。」 空「かわっちるね」 太「…」 チュッ たまらなくなって、キスをした。 無感情で無表情で不器用なやつ。 どうしようもなく、可愛く見えたんだ。 太「お前の為なら、変な奴でも良いかもね。」 【すべての始まり】 完
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