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「おせっかい」
アタシ、心狭いなあ。でも、寛大になんかなれない。
「あいつの悪い癖な」
一度売場で逢った彼女の屈託ない笑顔、思い出してた。
屈託なさ過ぎて、却って苛苛するくらい、言葉にも表情にも、裏と表を使い分けしなそうな、人。
「彼女を、好きだったり…しないよね」
アタシの杞憂を店長はぶっと、笑い飛ばす。
「同情と愛情履き違えるほど、ばかじゃないだろ」
「同情か」
じゃ、少なくとも「情」はある?
何でこんな日に?とか、アタシとの約束忘れちゃったの?とか。
詰る相手もいないのに、不満と不安だけは、どんどん膨らんでいく。
「ありがと、てんちょ」
でも、この人の前では、弱さを見せたくない。
「どうするんだ」
「んー、適当に時間潰してる。穂積が戻ったら、アタシが来てること伝えて」
無理やり作った笑顔で、そう言って、アタシは通路の人波に紛れた。
カフェも、本屋もブティックも。
この建物の中に、幾らでも時間潰せる場所はある。
心ここに、在らずでも。ぷらぷらする居場所だけは、ある。
だけど、待ってても穂積はなかなか戻って来なかった。
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