第10章 雨ざらしの絆

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今もありこさんに向いている感情は、僕とはまるで違う種類のものだけど、深さは変わらないのか。 なっさけない僕へのダメ出しは全部、ありこさんにこれ以上、泣いて欲しくないから、ですよね。 そんなに大事なら…は、僕こそ貴方に問いたい。ならどうして別れたんだ、って。 「だから、店長に穂積を責める資格なんて…」 僕の胸にしがみついてたありこさんが、日下部さんを振り返る。 「いいよ、ありこさん」 僕から離れたその顔を、後頭部に手を当てて、もう一度ぽすっと抑えて。 「僕が悪い」 そう言うと、僕はありこさんの腰に腕を巻きつけて、太腿にもう一方の手を添えて、彼女の身体を抱き上げた。 「あい…」 「ほ…」 あっけにとられた声は、ありこさん、日下部さん、両方から起こった。 「穂積おろせ」 「帰ります。…彼女」 僕の肩に手をついて、身を捩るありこさんの動きは無視して、ぽかんと口を開けたままの日下部さんに僕は宣言する。 「あ、ああ」 「過去はともかく、今は僕の婚約者なんで、二度と気安く触れないで、くださいね」 これでもか、と営業スマイル作って言うと、日下部さんが破顔する。 「オッマエ、釘の刺し方怖すぎ」
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