親友=悪友=親友

2/17
193人が本棚に入れています
本棚に追加
/1827ページ
  親友=悪友=親友  朝のHR前の騒がしい教室。  知紗兎は机に缶コーヒーを置き、本を読んでいた。 (…はぁ…)  心の中でため息をつく。  実際のところは本の内容なんて頭に入ってこない、ただ上から下へと活字を追っているだけだ。  頭の中は昨日のことばかりが占めている。 (…いい加減、頭の中切り替えないとな…)  とりあえず次のページをめくろうと手をかけると、目の前が急に真っ暗になった。 (………?)  それとともに、上から降ってくるテノールの声。 「だーれだ?」 「………」  聞き慣れた声に顔を見なくてもわかる。  しかし、今の知紗兎には正直かまってやる気力もない。 「あれ、もしかして朝から僕に会えた嬉しさで声もでない?」
/1827ページ

最初のコメントを投稿しよう!