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(それに引きかえ自分は…)
知紗兎は廊下の鏡に写る自分をまじまじと見た。
ベリーショートの髪に、一重のキレ目、薄い唇、学校とバイトの両立で疲れからか目元にはうっすらと隈があり、化粧なんてろくにしたこともない。
音楽はロック、色は黒、甘いものは苦手でヌイグルミは一つも持ってない。
極めつけに、今日の格好は男物の着物ときた。
(…まさに、男…だな)
実際に女の子らしくしたところで、すぐに嫌気がさすだろう。
(それでも、やっぱりな…)
正直、うらやましいと言う気持ちはある。
(こんな容姿と性格じゃあ…恋もしづらい)
鏡の中の自分と一緒にため息を吐いて再び職員室に向かった。
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