第1章

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「ごめんね。電話しちゃって」 いつの間にか電話を終えてたみたいで、お姉ちゃんはスッと部屋に入ってきた。 「何の電話だったんだ?」 「大した用事じゃなかったのよ」 「どーせ"好き"とか"愛してる"とか言われてたんでしょ?!」 冗談で言ったつもりだった。 でも、当たりだったみたい。 「そんなこと無いよー」 そう言うお姉ちゃんの表情は別に変わらない。 けど図星のことを言われると、お姉ちゃんは爪をいじりだす。 本人は気付いていないみたいだけど、ずっと一緒にいるあたしたち3人には分かる癖。 「…ッ」 息をのむ音が聞こえ、そちらを向くと、寛人がハッとした顔をする。 …と思ったら、その顔は一瞬で元に戻り、お姉ちゃんと京にぃとまた喋りだした。 寛人のあんな顔、最近よく見るようになった気がする… 確か、ちょうど1年くらい前からだったと思う。 何か悩みでもあるのかな? 前からずっと聞いてみたかったけど、寛人のさっきの顔を思い出しちゃって、なかなか聞けなかった。
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