第1章

6/17
前へ
/17ページ
次へ
「そういえば、寛人としいちゃんはいつ入部するの?」 京にぃに聞かれて、あたしと寛人は「「明日にでも!」と答えた。 「2人だったら即戦力になるもんねー。早くチームになじんだ方がいいよ」とお姉ちゃんがうなずく。 実は京にぃもずっとバスケをやっている。 お姉ちゃんはマネージャーだ。 あたしたちがここまで仲良くやってきているのは、バスケがあったというのもあるかもしれない。 「あのさあのさっ、一応パーティーなんだからジュースとスナック菓子だけじゃなくて、ケーキとか買いに行かね?」 甘い物が大好きな寛人が、『どうしても食べたい』という顔をする。 「そういうと思って…じゃーん!ケーキ焼いてきたんだ」 いつの間にか大きな箱を取り出すお姉ちゃん。 開けてみると、ホールのショートケーキが入っていて、真ん中には"入学・進級おめでとう"と書かれた板チョコが乗っていた。 「「「おぉー!!」」」 こんなにすごいケーキ、いつ作ってたんだろ… 「俺が切り分けるよ」 そう言って京にぃは、ケーキを持って台所に向かっていった。 「あっ。あたしも手伝うよ!」 あたしは、京にぃの後に続いて台所へと向かった。 ―― ―――― 「千香の作るお菓子、いつも綺麗でおいしいよな」 「もう趣味の域を超えるレベルだよね」 お菓子を見るなり、毎回のごとく京にぃはお姉ちゃんの料理の腕を褒めるけど、あたしは京にぃだって料理上手だと思う。 正直言うと、うちのお母さんよりおいしいんだよなー… なんてお母さんに言うと、いつも怒られる。 『そんなに京介くんの料理がいいなら東雲家の子になりなさい!』だってさ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加