5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あたしが切るよ」
包丁を持とうとした時、ふっと京にぃに手を抑えられる。
「しぃちゃん、また怪我するよ?俺が切るからしぃちゃんは持っていくの手伝って」
「…はーい」
あたしは超不器用。
料理なんて、卵焼きでさえ作れない。
だから包丁なんて持ったら、まず間違いなく怪我をする。
そんなあたしを気遣ってか、器用なことをする時には京にぃがいつも助けてくれる。
治したいなー、とはずっと思ってるけど、そんな簡単に治るもんでは無いらしい。
なんて考えているうちに、京にぃはケーキを4等分に切り終えていた。
「しぃちゃん、手伝って」
「はーい」
うわぁ…!すごい…
ケーキの断面はフルーツがたくさん入っていて、ピンクやオレンジ、ライムなどの色のスポンジケーキの層が何層も重なっていた。
「さすが千香だよね」
京にぃも感心している。
不器用が治ったところで、お姉ちゃんには叶わないか。
こうやって毎回のように不器用な自分を治すことを諦める。
…だって、ねぇ。
こんなに器用なことが出来る人が近くにいたら治す気無くすよね…
最初のコメントを投稿しよう!