第1章

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「おっ、来た来たっ♪」 寛人がすごく嬉しそうにニコッと笑う。 お姉ちゃんの手料理を食べる時の寛人は、毎回幼くて可愛い笑顔になる。 「「「「いただきまーす」」」」 「やっぱうめーっ!千香サン、めっちゃウマいよっ。ケーキ屋のやつよりめっちゃウマいっ♪」 「寛人くんは本当に美味しそうに食べてくれるから、私も嬉しいわ」 お姉ちゃんが微笑ましそうに見ている。 あれだけ美味しそうに食べてもらえたら、そりゃ作りがいあるだろうなー… 「いいなー、あたしもお姉ちゃんみたいに作れるようになりたい」 誰かに「美味しい!」なんて言わせられる料理を作ってみたい。 そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、 「しぃはまず不器用を治さないと無理かもね」 「しぃ、運動神経はいいのに不器用だからもったいねーよな」 と、お姉ちゃんと寛人に言われてしまう。 「分かってるって、もうっ」 ちょっとくらい夢見たっていいじゃんかぁ。 文句を言いたそうなあたしの顔を見て、2人はケラケラと笑っている。 なんか悔しいんだけど…
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