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『ん~……。
なんか体がフワフワする』
少し赤みのかかった眺めにカットされた髪、長身で少し筋肉質な体つき、切長の瞳で凜とした顔付きの少年・氷室 春(ひむろ はる)はぼんやりする目を擦った。
「当たり前よ。
貴方は死んだんだから。
『浮遊』ってヤツよ。
貴方も霊媒師の端くれならわかるでしょ?」
春の背後から女の声がする。
春がふりかえると肩につくくらいの長さのふんわりパーマのかかった黒髪に大きな茶系の瞳に長い睫、華奢で小柄な白っぽい和装の女性が宙に浮いていた。
『アハハハ!
俺が?
死んだ?
じゃあ、なんで俺はアンタと普通に話してるだよ。
てか、アンタ誰?
コスプレとかしてるし』
春は女を指差し笑った。
「質問多すぎよ。
明瞭簡潔に言いなさいよ。
あたしはキュートでプリティな死神・花音(かのん)ちゃん。
この格好はあたしが死神だから。
そして、貴方と話せるのはあたしがあの世への道先案内人だから」
頭をかきながら花音は少し呆れていた。
『死神?
あの世?
頭おかしいんじゃねぇ?
てか、自分でキュートとかプリティって言う時点で恥ずかしいとか思わないワケ?』
はぁっと溜め息をつき、春は花音を上から下まで見た。
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