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「ギャグよ、ギャグ。
それくらい理解してほしいわ。
わかりやすく明瞭簡潔に言ってあげたのに貴方って鈍いわね~」
春を小ばかにしたように花音は言う。
『わかりにくいんだが』
意味のわからない春は首を傾げる。
「貴方は下校中、運悪く歩道にトラックが突っ込んできて頭から血がブシューッ!ドバーッ!って出血多量で天に召されたの」
身振り手振りで花音は説明する。
『なんと、グロティスクな表現。
わかりやすいがな……』
呆れながらも春は納得する。
「……違う形で出会いたかった……」
花音は静かに呟いた。
『あん?』
花音の言ってる意味がわからず春は顔を曇らせる。
「何でもなんだから!
さぁ、行くわよ!」
花音は誤魔化すような態度をとる。
『何ムキになってるんだ?
それに、行くって……』
花音の言動に春は疑問符だらけだった。
「ムキになってなんかないんだからね!
今から行くとこはあの世よ、あの世!」
くいっくいっと上を指しながら花音はいう。
『俺は……、俺が死んだなんて信じないからな!
死後の世界とか信じないからな!
俺は霊媒師なんかにはならないんだからな!』
春は頭を抱えブンブンと振った。
「つべこべ言わず早く……」
ガシッ!
カッ!
花音が春の手を握った瞬間、二人を金色の光が包み込んだ。
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