法子と則子

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法子はその日初めて校舎に入った。 以前いた中学校とは打って変わって、ずいぶんと古臭い校舎だった。 床は木製のタイル トイレはオール和式 下駄箱には蓋が無く 傘立ては昇降口に顕在する なにもかも違う 法子はそう思った。 ちょうどその時、頭の薄い先生らしき先生が目の前に現れた。 小走りで来たのか、息が上がっていた。 見た目も歳っぽそうだし 頑張らなくても…… 口から出かかったが なんとかそれを堪えて 「私はどちらへ行けば?」 どちら、普段使わないような単語だ。 人間最初が肝心とは良く言ったものだ。 「はぁ、あっ、ごめんね。とりあえず生徒指導室にいて。」 そういって、それらしい教室を指さす。 資料室 法子の目にはドアのところにそんな札が見えたが気にしないことにした。
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