法子と則子

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若干、中二病の気があるが 逆にそれがまた、マッチングしていた。 たわいない談笑を繰り返していくなかで二人はお互いに全く同じことを感じていた。 「この子以前の私の様だわ。」 以前の法子、今とは違い髪も黒く、眼鏡をかけていて、生真面目で人と付き合うことを自ら拒むような、そんなつもりは無くとも法子を取り巻く雰囲気が周りをそうさせていた。 だから、引っ越した暁には友達を作ることから始めよう。 そう決めていた。 以前の則子、それはそれは毎日のようにやんちゃしていた、それが生き甲斐かの様に。髪は今ほど黒くなく、むしろもっと明るい色に染めていた。つるむのは得意だったし、人といるのは楽しかったが、上辺だけの付き合いというものも知っていた。そこに残酷さや苦痛があることは誰よりも分かっていたつもりだった。 だから、引っ越した暁には人と付き合うことはやめ、静かに目立つ事なく卒業しよう。 そう決めていた。
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