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織田上総介信長という人物はうつけを通り越してもはや変人である。
「って思わない?夢夕」
佐助が呆れたように夢夕に聞く。
「織田様、主。佐助、失礼」
「でもさー、見ず知らずの子供を影にしたと思ったら部屋まで与えて…しかも座敷にまで上げてるんだぜ?変人でしょ」
そう。あの後佐助達を連れ帰った織田様は、あろうことか城の部屋を佐助達に与え…
「貴様ら!口を慎まんか!殿の御前であるぞ!!」
そして今、織田の重臣達が集まる会議の場に忍びである2人を参加させ、座敷に上げているのだ。
…しかし、その場で堂々と私語を話した挙句、前田の犬千代様に怒鳴られながらも飄々としている2人も2人である。
「ククッ、まあ良い。まずは顔合わせだ。皆のもの、此度新たに影を使うことにした。そちらは関わることも多いであろう。顔と名を覚えておけ。」
上座に座って2人と犬千代様のやりとりを楽しそうに聞いていた張本人の織田様が口を開き、2人に目配せをする。
それを受け2人は佇まいを正すと、片膝をつき頭を垂れる。
「徒櫻佐助」「雪咲、夢夕」
「「本日より、殿の手となり、足となり、目となり口となり耳となり、この命尽きる時まで織田上総介信長様に仕えさせていただきます。」」
交互に自分の名前を告げたのち、顔を上げ声を揃え一見、生涯忠誠の言葉に聞こえる台詞を述べる。
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