第一章 壱・世の道は

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『…………』 「おいおい、ジジイ。どうしたよ? 訊いてきたのはアンタなんだから、いきなり無視とか流石に困るんだけどな」 『……お、おォ。そうじゃったな、すまんすまん。えーと、それで、お前は幼女が好きってことじゃな。良し、それでこの話は終わりじゃ』  早口でそう言い終えるジジイは、何故か大きな溜め息を吐いた。嘆息。意味解らん。ちゃんと俺の好みを答えたと云うのに。  それとも、幼女は幼女でも、無駄に身長が高くて、胸の脂肪のある幼女は嫌だって言えば良かったのか? 最近の女子小学生は発育が進んでるからな。中学生なんかはどうでもいいけど。興味すら湧かねぇよ。  全く、そこら辺の線引きは必要だろうに。  と言うわけで、やり直し。  再度、断言する。 「ジジイ、俺が間違ってた」 『そ、そうじゃろうな! 儂の孫があんな事を言う筈なかろうと、今思っていたところじゃぞ!』 「ああ、俺も自分のいたらなさに嘆いていた。俺は、幼女は幼女でも、“胸ペッタンコの身長百三十センチ以下の幼い女”が大好きだ」 『さっきよりも酷くなっとる!?』  驚嘆と悲嘆。  世道未然の叫びはまさにその二つだった。姿は見えないが、頭を抱えているかのように、驚き、嘆き、悲しんでいた。 『何と言うことじゃ……。儂の、儂の孫が、変態(ロリコン)になっておったとは。ご先祖様に申し訳が立たんぞ……』 「おいおい、ジジイ。何悲しんでんだよ。“まだ”幼女に手は出してないから安心しろって」 『まだ、ということはいつか手を出すんじゃな!? 止めろ、それだけは自重するんじゃ、世道紡ッ!!』
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