第一章 壱・世の道は

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「わざわざ皮膚を剥ぐことは無かっただろうによ」 『生きたままではなく、死んでから剥げば良かったのか?』  随分と猟奇的な殺人現場だったらしい。見えざる脅威(マジで一般人には見えないから相当な混乱だったであろう)に、生きたまま皮膚を剥がされていく絶望と苦痛。想像するに推し量れぬモノがあるな。  少なくとも、俺は体験したくない。 「しかし、こんな廃墟に怪異、か」 『中々に的当たりなしちゅえーしょんであると思うのだがな。貴様はそう思わぬのか?』 「どうでもいいさ、どこでお前と会おうと、俺の取るべき選択肢は一つだけだからな」  そう言い、俺は踵を返す。怪異から離れる。裏側の人間以外は怪異に近づくことは出来ない。しかし、裏に存在する人間は近付くことも離れることも可能だ。任意で行動を選べる。  俺は、こんなモノに時間を割いている暇は無かった。いや、厳密的に、ついさっきの俺自身の愉快な内心トークを掘り返してみるなら、明らかに世道紡は暇人なのだけれど、流石に巨乳で推定年齢不詳の女と時間を過ごすなど、俺にとっては拷問に等しい。  であるからにして。 「じゃあな。さっさと神に戻れよ」 『……貴様、この妾を見て何とも思わぬのか。ほら、振り返って良く見てみるのが吉であるぞ』 「ああ?」  言われた通り、振り返って『ソレ』の方を視界に納めると、  何故か『ソレ』はやたらと扇情的なポーズを取っていた。全裸だけあって、妄想が暴走する健全な男子高校生ならそれだけで絶頂に達してしまいそうなポーズであった。
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