第一章 壱・世の道は

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「……何が目的なんだよ、お前は」 『何? 妾の必殺技的な悩殺ぽーずを目の当たりしても、顔色一つ変えぬとは。貴様、さては同性愛者であるな?』 「勝手に決め付けんな。俺はな、お前みたいな無駄に胸が大きい奴と、無駄に年を喰った存在が大ッ嫌いなんだよ。いいからさっさとそのポーズを止めろ。吐き気がする」 『なんと。貴様、少女愛好者だったのだな?』 「やけに現代的な神様だな……」  脱力する。何なのだろう、『ソレ』は。いやまぁ、『ソレ』が言う通り、神落とし。神から落とされた、アイヌ民族と共同の関係にあった元精霊なのだろうけれど。 『時に、貴様。どうやら、偶然的にも世道家の人間であろう?』 「お前、どうしてそれを……」 『昔、二回ほど世道家の人間と会話をしたことがあってな。その時、奴らの感覚を覚えた。貴様から感じるそれは、その感覚に極々近いのだ』 「へぇ」  『ソレ』は露骨に厭らしい笑みを浮かべた。扇情的なポーズを取ったまま、妖艶な笑みを浮かべている。  はぁ。思わずため息。  ……これは大人が見て、自分を慰めるためにあるビデオのワンシーンかよ……。 『そういうわけで、妾を世道家に者に会わせろ。はてさて、今は誰があの変な家の当主だ?』 「……あぁ、当主に会うのは止めとけ。あの野郎、比喩とか無しに糞だから。会うなら、まだ世道未然の方がマシだろうぜ」
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