第一章 壱・世の道は

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 俺の好みとは真逆の『ソレ』だけど、糞親父に会わせようとは到底思考えられなかった。あの野郎は、ヘドが出るくらい根底から“裏”の人間だからな。  表がどうなろうとどうでも良いという性格に、俺は辟易して反発した結果、勘当されたのだ。 『世道、未然か。良かろう、ソイツと会う。じゃから、呼べ』 「は、俺が?」 『妾は生憎動きとォない。この世には、携帯電話なるものがあるのだろう? それで呼べ』  本当、どこまで現代的な神様なんだろうか……。 「構わないが、その後、俺はお前に一切関与しないからな」 『ふ、良かろう』  『ソレ』が裏の存在、または魑魅魍魎の類いで、はたまた世道家と関わったことがあるモノならば、俺にも僅かながらに関係性がなきにしもあらず、だよな。  ジジイを呼び出して、それで終わりだ。 「今、世道未然を呼んでやるよ」 『そういえば、貴様、名前は何と言う?』  携帯電話を開こうとした時、問われた。疑うこと無く、名前を答える。  すると、 『紡、か。妾は、“イムカ”であるぞ。神名は他にあるがな』 「ああ、そうかよ」  どうでも良かった。  心底どうでも良い名前だと思っていたそれを、俺が今まで生きてきた中で最も多く口にする名前である事実など、  このときの世道紡には、知る由もなかった。
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