第一章 弐・裏語り

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 次に『若紫(わかむら)』。  アイツと初めて出逢った時、俺は恥も外聞も投げ捨てて、ポカーンと口を半開きにしたまま“若紫初姫(わかむら はつひめ)”の大人びた容姿をただただ食い入るように眺めるしか出来なかった。  出逢うことはありえないとタカを括っていたのだ。そこに、俺の落ち度は皆無である。ちゃんと、そうタカを括るだけの理由があったのだから。  まぁ、それは置いといて――。  結局、俺たちは会った。  逢って、しまった。  紡がれた関係が俺と若紫の間に出来てしまったのだ。若紫の初姫と世道の紡だけれども、無下に出来よう筈もなかった。  そして最後。  『身代直』。  有名人だと思う。高校三年の俺と同級生だけど、とにかく小さい。ロリだ。いや、少女みたいに幼女みたいに小さくて、胸が無い。最高だ。  長く艶のある黒髪は足下にまで伸びている。身長が低いからか? 普通あそこまで人間の髪って伸びないと思うのだけれど。  眼は蒼い。蒼穹の如く。天空の如く。両目共々、まるで透き通った水晶玉のようだ。  おまけに人形みたいに整った顔をしている。色も白い。さぞかしモテて、男子から人気のある女の子なんだろうなと思うかもしれない。  けれど、違う。  身代直は有名人ではあるが、人気者ではない。  理由は簡単だ。  彼女は、誰とも喋らないからだ。
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