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勘当された身ではあるが、“智謀”の世道家に生まれた俺が一般人と仲良くなってどうするのだ。
表と相容れない存在。真逆に位置し、平行線を辿るのが俺たちの運命。
理解は、している。
「君が逢いたくないと言うのなら無理に勧めないけれどね。取り敢えず、こちら側の話は置いておこう。それで? とある知識とは一体何かな?」
「アイヌ民族と、神落としについてだ」
余計な隠し事は不要だよな。
若紫相手だし、何よりもこの女に手伝ってもらえるかもしれないし。
「神落とし、か。しかし、どうしてそんな知識が必要なんだ? ……ああ、そういえば、さっき何かに巻き込まれたと言っていたね」
「……そういうことだ」
俺が頷くと、若紫はくっくっくと含み笑う。それが一定の大きさを超えると、今度は誰に憚ることなく大声で哄笑した。
「……ふふ、あはははははは!!」
ここ、仮にも図書館なのにな。
いいのかよ。
そんなに笑い声を響かせても。
尤も、この旧図書館にいるのは俺と若紫初姫だけなのだけれど。
「なるほど。福井莉里くんはイドと出会い、世道紡くんは神様と出遭ったのか。あははは、これはまた、おかしな組み合わせもあったものだな」
一頻り笑った後、若紫は目頭に溜まった涙を指先で拭い、
「君は、その神様を助ける気なのかな?」
「いや、“戻す”だけさ。助けるなんて、そんなの、表の人間がすることだろう?」
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