67人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
「私が、若紫だからかな?」
「俺が、世道だからだ」
それはどうしようもなく、今さら俺たち一個人の力なんかでは到底変えようの無い、先祖代々から織り成された宿命のようなモノ。
DNA《遺伝子情報》に直接小刀で刻みこまれた。そんな感じ。俺たちは俺たちであって、決して俺たち個人ではない。
繋がっている。
裏は裏と。表は表と。
裏と表が繋がることはなくても。
連なっている。
「世道紡、君は、どうする?」
漠然とした問いに、俺は一拍の間を置いて、明確に頑なに答えた。
「“願う”。人間なんて、願うだけの生き物だろ」
若紫が苦笑する。
「君は本当にひねくれているね」
「お前は本当に読めない奴だよ」
だからこそ。
「「“また、会おう”」」
裏の語りは、終わらない。
最初のコメントを投稿しよう!