第一章 弐・裏語り

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 色々とツッコミたい所が多すぎて、何をどう反応していいか困るんだが。  えと、その、パンドラ禍面は俺の反応が薄い(皆無)ことに憤ったらしく、ぷんすかぷんぷんと口に出して地団駄を踏んだ。子供かよ、お前は。 『もう! 折角、このパンドラ禍面が会いに来たというのに! どうしてそんなに喜ばないのか、理解できないよ!!』 「喜ぶ? 何でだよ」 『だってほら、今さ、(ちまた)で有名なヒーロー戦隊の名前をもじって、名前をパンドラ禍面にしたって言うのに』  時事ネタかよ……。  つか、コイツ、本気で何なんだ? 背丈や格好は明らかに大人なのに、性格はまるで子供で、まるで幼稚で、まるで“破滅”している。 「それじゃあ、人呼んでじゃねぇだろ。完璧自称じゃねぇか」 『いいの! ボクはパンドラ禍面! この世の善悪をぶっ壊して、無秩序と無節操と無計画を中心に据えた世界を創る、新世界の神だ!』 「某ノートでも持ってんのかよ、お前は」 『僕は、漫画家になる!』 「あれ、結構面白いよな。漫画家の裏事情が解るって意味でも、俺、結構好きだぜ、あの漫画」 『イエス、ジャンプフォーリンラブ!』  古ッ……。 「何か不必要な単語が一つあるんだが……。というか、お前、本当に何なんだよ。俺に何のよう――」  言の葉は紡がれなかった。 『言ったでしょ? ボクは、パンドラ禍面だって』
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