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「殺すつもりがない、ね。さっきの踵落とし、当たってたら死んでたぜ」
『あれ? さっきの踵落とし、もしかして避けるのに苦労したとか? それだったらボクの見込み違いかな』
一々、気に障る事を言うんだよな、コイツ。
元々が戦闘向きの家系ではないのだけれど、ここまで小馬鹿にされたら冷静でいられる筈もなかった。
俺は、意識を変える。
脳内を通常時から、戦闘時のそれに変化。呼吸の仕方から構えまで。腕、足、手、指先、関節、膝、肘、頭、眼、全てを丸ごと戦闘のそれに変換。
余計な気遣い廃止。
『キャハ、やる気出てきたみたいだねー。かっこいいかっこいい! ほら、早速、忌能を使ってよ!』
「言われなくても――」
駆け出す。コンクリート製の道路が後ろに捲り上がる。ボコッと。四散されたコンクリートが後方の道路に撒き散らされた。
それを尻目に、俺は疾走。
「見せてやるよ!」
忌能とは、二つの種類が存在する。とは言っても、明確な区切りなんか無くて、それでも敢えて無理矢理区切りを作るのなら、それは身体能力とソピアーの強弱に由るものだ。
解りやすく説明しよう。
身体能力が高い反面、ソピアーの能力が弱い(まぁ、弱いとは言っても、一般人からしてみたら充分脅威的なモノだが)者と、身体能力が低い(これでも常人を遥かに超えている)けれど、ソピアーの能力が強い者の二種類だ。
要するに、前者の戦士タイプと後者の魔法使いタイプに分かれるのである。
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