第一章 参・存在形成

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 イドも同様だ。肉弾戦が得意で身体が強固な戦士タイプと、特殊な忌能(ちから)で人間を惑わし狂わす魔法使いタイプに分類される。  身代直は生粋の戦士タイプ。まぁ、アイツのソピアーである『自分が嘘を吐けない代わりに、相手の嘘を見抜く』ことは、戦闘でかなり有利に働く能力だから、そこはそれ、身代直こそ本来の意味で現実的な“生粋の戦士タイプ”なのかもしれない。  俺の場合は、魔法使いタイプに近いだろう。  何しろ、『この世界にある、ありとあらゆる存在の強弱を操る』ソピアーなのだから。 『キャハハ、早く早く! もうボク待てないよー!』 「うるせぇ!」  片腕に鞄を持ったまま、俺はパンドラ禍面に近付く。上段蹴り。かわされる。その勢いを活かし、今度は逆の足で回し蹴り。それも回避。パンドラ禍面は屈んでいる。合わせる。下段蹴りに移行。しかし、当たらない。 『蹴り技が豊富だね』 「バカにしてんだろ!」  後方に跳躍したパンドラ禍面。  俺は敢えてそれを追わなかった。ただソピアーを使う。発動させる。とある存在の強弱を強めて、とある存在の強弱を弱めた。 『ん?』  パンドラ禍面が怪訝な表情を浮かべて、俺から視線を“外した”。それはそれはある意味意識的に、けれど無意識に。  パンドラ禍面は俺の存在を認識できなくなったのだから。
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