第一章 参・存在形成

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 瓦礫と化したブロックの山に押し潰されたパンドラ禍面に、言葉を投げ掛ける。俺は解っていた。こんな簡単に、あの存在が居なくなっていないことに。  それに、訊きたいこともある。 『やれやれ……。ちょっと、君の事を過小評価し過ぎたかもねー。あー、痛い痛い』  傷一つ追わずに、パンドラ禍面は瓦礫の山から這い出て、相変わらず趣味の悪いひょっとこのお面を被り着けたまま、俺の前まで歩いてきた。  警戒体勢。  けれど、訊く。 「お前、どうして俺を狙う。誰かに頼まれたからなんだろ?」 『あー、うん。頼まれたって言ってもいいのかな……うーん、そこら辺、ボクには良く解らないんだよねー。だって、ほら、ボクって頭悪いから』  素直に答えてくれるとは思わなかったな……。結局、要領を得ない答えだったけれど。  こういう時に身代直がいてくれれば、あっさりとパンドラ禍面の真意が解ったんだが、それは、ちょっとおこがましい部類になる。  全く、面倒くせぇ。 「誰から頼まれた」 『誰から? あぁ、その問いには簡単に明瞭にスッキリと答えられるよ! キャハハ、流石はボクだよね。さーさー、存分に褒め称えてくれたまえ!!』  高笑いするパンドラ禍面は、一頻り笑って身を捩った後、右手の親指でひょっとこのお面を着けた自分自身を指差して、 『何を隠そう、ボクに命令を下したのはこのボクなのさ!』  と言った。
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