第一章 参・存在形成

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「さながら、嫁と姑に囲まれた行き場の無い夫だな」 「は? どうして、私が兄貴の嫁にも姑にもならないといけないのですか? 鬱陶しい」 「鬱陶しい!? 普通、その場面だと面倒くさいとか言わねぇか!? 鬱陶しいとかリアルすぎて泣けてくるんだけど!」 「あーはいはい。面倒火災」 「お前は俺の家を燃やす気か!?」  そんな一通りの挨拶的な事が終わり、世道解は意味有り気に眼を閉じた。いや、意味は有るし、解の忌能にはこの動作が必要不可欠なのだけれど。  眼を閉じている間にイタズラしても、怒られないかな? 「兄貴」 「は、はい!」 「もし私に触ったら……どうなるかご存知ですよね?」 「イエス」 「結構です。それでは、そろそろ始めます」  何だかんだと言いながら、解はいつだって俺の頼みを聞いてくれる。ツンデレ妹。万歳! 「存在形成、集」  しかしながら、解の忌能は久し振りに見る。世道家の練習も、勘当されてから参加していないし。解もソピアーの力を好んではいないようだし。  それでも、俺のために以下同文。 「存在形成、合」  『集』によって集められた存在の有り様が、『合』によって合わされる。  解の忌能は『ありとあらゆる存在の形を変えて、自由に存在の破壊修復を操る』のだから、このぐらい朝飯前だろう。
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