67人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
もしも言葉の要らない世界だったら、この世に文学は登場し得なかっただろう。文学、漫画、大雑把に分類するならば、取り合えず文字が存在を主張する物は、全て、一切合切、この地球上に姿を現さなかったに違いない。
登場人物のいない物語が無いように。物語、それ自体が無いのなら登場人物も居はしないし、元々いないことになる。
主人公も、悪党も、善人も、英雄も、盗賊も、学生も、テロリストも、魔王も、勇者も、美人も、物語を彩り造り形を成すモノ全てがいない、存在しないことになるのだ。
僕ーーいや、それは表の主人公の一人称だ。止めておこう。分別するためにここはカッコ良く決めるべきだ。
“俺”は、そんなことを小さい頃からずっと繰り返し、再三、考えた。もしもこの地球上に文字が存在を許されなかったら、今の日本や他の国々はどうなっていたのかを。
結局、答えは出ない。
俺は神様じゃない。
全知全能で、万能で、人間やその他の生き物を超越した完璧で完全で、その割には多種多様に存在して、世界を構成して創造した絶対不可侵のモノ。
ーー神ーー。
これは、表の主人公が運命的な出逢いを果たし、表の物語を形作っていく最中に起きた、
裏である、《俺》の最低最悪の物語。
最初のコメントを投稿しよう!