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「マスター」
「…メイドの調教の方法ですか? 私が推奨したいのは」
何か放送禁止っぽい言葉を言う前に刀の柄で殴る。
「この街のすぐ先って、もう魔族達がたくさん住んでいますよね?」
「ええ、実際ここが境界線みたいなものですね」
「そんなに隣接しているなら、強めの魔族が襲ってきたりしないのですか?」
マスターはナユタの質問に答える代わりに窓の外を指差す。
「あれは、人? にしては大きい得物を使っているようですが…」
魔族のいるほうの門手前で胡座をかいている一人の男性。
その男は二メートルほどの大剣を横に置いている。
「あの方がルルフィン殿、ここライウィンドに住む唯一の魔族ですよ」
「あれがルルフィン…」
「たしか魔族名は…黒竜と」
「…本当、ですか」
「ええ」
ナユタは平静を装っていた。
「(黒竜ですって!? そんな、最上級魔族の中でも上位に位置している種類がどうして…)」
「なんでも、幾千年前に世界を救ったものの一人に憧れているとか」
「あれは言い伝えでは?」
「いえ、実際この街は名前は違いますがありますし」
「では、ルルフィンはこの街で何を?」
質問を続けるナユタ。
「…彼が危険な魔族から私たちを守ってくれるのです」
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