sideクリス encount

12/23
前へ
/63ページ
次へ
「マスター」 「…メイドの調教の方法ですか? 私が推奨したいのは」 何か放送禁止っぽい言葉を言う前に刀の柄で殴る。 「この街のすぐ先って、もう魔族達がたくさん住んでいますよね?」 「ええ、実際ここが境界線みたいなものですね」 「そんなに隣接しているなら、強めの魔族が襲ってきたりしないのですか?」 マスターはナユタの質問に答える代わりに窓の外を指差す。 「あれは、人? にしては大きい得物を使っているようですが…」 魔族のいるほうの門手前で胡座をかいている一人の男性。 その男は二メートルほどの大剣を横に置いている。 「あの方がルルフィン殿、ここライウィンドに住む唯一の魔族ですよ」 「あれがルルフィン…」 「たしか魔族名は…黒竜と」 「…本当、ですか」 「ええ」 ナユタは平静を装っていた。 「(黒竜ですって!? そんな、最上級魔族の中でも上位に位置している種類がどうして…)」 「なんでも、幾千年前に世界を救ったものの一人に憧れているとか」 「あれは言い伝えでは?」 「いえ、実際この街は名前は違いますがありますし」 「では、ルルフィンはこの街で何を?」 質問を続けるナユタ。 「…彼が危険な魔族から私たちを守ってくれるのです」
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加