sideクリス encount

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「(さすがに予想外だぞ!? あのこの実力、城付近の術師とさほど違いがないじゃないか!)」 刀をさらにどこからか四本、計八本の刀を構える。 最初の位置で縦に両断、二歩下がり横に一閃、さらに二歩下がって斜めに、これをあと五回繰り返し、ナユタは炎の球を消し去った。 「あの子だけは規格外だ、何か仕掛けは…」 黒の少女は、周りに杖で地面に何かなぞっていた。 「なるほど、強化陣か」 強化陣とは周りに書くことで自らの魔力を増幅させる。 「というか、まだやるつもりか」 強化陣を少女は書いている。 その時間を稼ぐ為に、近接戦闘の二人が来る。 「(ああ、クリス様のせいだ、タマモ様に怒られるのも、こんな不完全燃焼しか有り得ない戦いをすることになったのも…)」 今日一番のため息をついたナユタは、その後目に殺気を纏わせた。 全員が一瞬たじろぐ。 ナユタには、その一瞬で事足りた。 「これで終わりです」 刀がナユタの背中から四十本湧き出て、それぞれ十本、ソウマとその仲間に向かっていった。 「きゃあっ!」 白い少女が叫び、貫かれる瞬間、剣は止まった。 「抵抗をやめてください、こっちはそもそも戦う気なんてなかったんですから」
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